このくらい愛してる。
『ふたつの愛の円形』
『ふたつの愛の円形』
「好きですよ」
「きっと、先生が私を思うよりずっと」
へぇ。
勝手なことを言うね。
君が、オレより?
「どのくらい?」
「「………」」
しばらく向き合ったまま沈黙が続き、
セロは首を傾げて、
「このくらい?」
と、その体でできる限り大きな円を作った。
「あぁそれなら」
「セロくんの勝ちはないよ」
だってその円形が最大限、思いの大きさなら、
オレは君よりもう一回り、二周りは大きな円を描けるし。
「好きだって?」
なんせオレのは愛だからね。
結局ね。
『転がる円形のゆくえ』 ※「ふたつの愛の円形」の続き
「そんな自分の方がみたいな言い方しないでください」
「セロ君こそ勝手だよ」
「だいたいどうなんですか、真昼間からいい大人が「愛」って。
っていうか私は満たないみたいな!私だって愛です!」
「セロ君が愛を説くのはまだ早いね、17歳」
「馬鹿にしないでください!」
「してない」
「子供だと思ってっ」
「思ってたら手ぇ出さないよ」
「「…………」」
そして沈黙。
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