惜しみなく愛。
唇から止まらない。
花曇り
思ったことは何でも言ってしまいたい。
例えば優しさに触れたり、胸の奥を絞られるほど切ない時には、
想いが口から零れそうになるの。
すきよ。
だいすき。
「あまり口にすると軽くなりますよ」
たしなめる言葉にはがっかりした。
信じてはもらえないのか。
疑わないで。
黙って心においておくにはもう一杯なだけなのに。
*
そんな思いで過ぎていく数日。
シャクヤの様子が、最近、どうもおかしい。
もの静かというか、黙ってしまいがちで。
クワンはついに、思うことを聞いてみる。
「シャクヤ様」
「……はい」
「最近喋られませんね」
すっかり口を閉じてしまったお姫様だった。
「何かありましたか?」
「………何かって、」
下に落ちた視線。
クワンはなんとなく察しがついてしまった。
なんだ自分が原因か、と。
「あなたが言ったのよ」
「あまり口にすると軽くなるって」
「だからもう言わないの」
「もう絶対言わないて決めたの」
なんて極端。
なんて頑な。
なんて単純。
なんて愛しい存在。
「私が悪いのかも知れませんね」
「確かに、あまり口にすると想いが軽くなると言った」
頭に手を載せ、視線を取り戻す。
不安げな瞳すら、自分のもの。
「あまりに何も言ってくださらないと、寂しいです」
矛盾しますが。と足して、
彼女の顔に笑顔が戻る。
そして、
「クワン」
「はい」
「愛しています」
「は、」
愛?
予想外の言葉に思わずたじろぐ。
「愛、ですか」
「そう」
「…………」
これは。
なんたる不覚。
耳の熱さ。
「………クワンは?」
なんとか。
無言で頷いて返すのだった。
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龍の花わずらいをはじめとする草川先生の漫画は私も大好きで、思わずこちらのお話に見入ってしまいました!
シャクヤの真っ直ぐな告白にいつもの余裕を少し崩して頷くクワンがとても萌えますね。二人とも可愛いです。
これからも素敵なお話を期待しています!
それでは失礼しました。
管理人のsuです。
草川先生の漫画いいですよねー(*´∀`*)だいすきです。
あの雰囲気にいつもやられています。笑
萌えて頂けたようでガッツポーズしちゃう私。笑
はい、頑張って書かせていただきますのでまたいらっしゃってください!
コメントありがとうございました!