めるとだうん

暴いてやりたい、と、思わないわけじゃない。

ただ「彼」であろうとする「彼女」が好きで、
それ故、彼女を困らせないために秘密は絶対。



だから今日も俺は、







騙された馬鹿な男を演じてやるのだ。







失さることは無いという

女だと気兼ねなく認識できたらならもう躊躇う理由なんてないのに。

と、思う。






手繋ぎたいとか
抱きしめたいとか
一緒に寝たいとか
頭撫でたいとか
キスしたいとか






もっと自然であればいいのに。





芦屋は「自分は今男だから！」っていうんで遠慮するし、
だから俺は気軽に触れられなくて、



なんかもどかしい。



きっと両思いなのに、だ。









もういいじゃないか。と思う。

もう触れたい。



欲張りだとは思う。

好きになってくれたらって思った後には恋人になれたら、って。

















しかし俺に、



彼女が必死に隠している秘密を暴く理由なんて、
努力を無にする理由なんて、














「……あるか。」









彼女の秘密が脅かされても

それで彼女が困っても





触れてみたくなる。





それくらい、好き、だ。










「…………あー」












大好きだ。



失うものは何も無い。