忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2025/07/18 05:17 |
うつくしい人
心変わりなんて、と思う気持ちはある。






うつくしい人











両の手に刺青をと考えたのは、なかったことにしたくないため。

その頃には確実に竜胆に傾いていったのもまた事実。



「わたしがそう仕向けましたからね」




彼は意地悪くそう言った。
私は苦笑した。




「ルシンを想っていれば良かったかな。と思わないでもないのよ。」
「それは?」
「私がルシンに一途だったとしたら、少しくらい、クワンは私を追いかけたくなったかしらって。」
「ルシンのように?」
「………。」





クワンを好きな私に恋をするルシンのように。

頭で理解すると少しだけ切なかった。

更には、





「それは微妙ですね。」





彼の、





「まったく、気にも止めなかったかもしれません。」




言葉が隠さない現実。

何をもってしても覆せそうにない現実。



きっと耐えたわたしの顔は不自然だったに違いない。

実際泣き出しそうだった。

でも泣いてはいけないと思った。




泣いたら嫌われるかもしれない。

それが何よりも嫌だった。
言わないけど。





「気にとめるわけないでしょう」



まだ止まらない彼の唇

いやいやと子供だったならだだをこねた。



けれど耳を塞がなかったのは、


言葉にちらつく優しい響き、
柔らかい声を聞いたから。


「だってあなたが幸せそうに日々を送るというのに、」



「わたしが何か気にとめる理由など、ありましょうか?」




意味がわからず見上げていると、
そういうことです。と諭された。







しあわせを祈る。
そこに恋がなければ不満か?

まさか。



「気にとめることがないほど、今日まであなたが幸せだったことを、わたしは喜びたいぐらいなんです。」




大きな手が頭を撫でた。





「……大人なのね」
「それほどでも」





その大きな温かさに気付いたからこそ、



わたしの心は。










うつくしい人。

あなたに傾いたのです。



びびび、と。

着実に。
PR

2007/10/14 12:27 | Comments(0) | TrackBack() | 龍の花わずらい

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<復活中** | HOME | 恋心の砂糖漬け>>
忍者ブログ[PR]